2015/12/31
久しぶりに話した相手が、私の話を聞いた後にしみじみと言った言葉があって、その言葉を聞いた瞬間に抱きしめてもらうよりも、背中をさすられるよりも、お酒を飲むことよりも、本を読むことよりも、ごはんを食べることよりも、プラモデルを作ることよりも、穏やかに慰められた。
酷く安心してしまって、頭のなかの地獄が少し落ち着いた。
「きみは、きっと傷ついたんだろうね」
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いつだっただろうか。相手が言った言葉もしっかりとは覚えていない。
それでも覚えていることがある。
「血縁にこだわりすぎじゃない?」
辱めを受けたと思った。怒り、羞恥、悲しみ、羨ましさが一気にこみ上げてきて臓物がすべて口から出そうになった。顔が熱くなって、言い訳が頭の中に浮かんでは消えてそれよりも目の前にいる相手をぶん殴って同じくらい辱めて殺してしまいたいと思った。
「苗字とか、血縁とか、そういうものに執着しすぎだと思う」
「正直、あなたのの話を聞いていて引く」
幸せなんだなと思った。幸せな家に生まれて<こんなもの>に目を向けなくてすむくらい穏やかなところに生きているんだなと思った。それと同時にきっとそれが普通で、考えるのがおかしくて、それに縛られてることのほうがとてもおかしいことなんだろうなと思った。そしておかしいものはおかしいところで生きているべきで、そちら側と関わりあうことはつねに何かしらの妬ましさをもって生きるしかないのだろうな、と。
メルロ=ポンティは言っている
「ねたみは本質的に<自己と他人>との混同である」と。
どんなに頑張ってもそちら側にはいけないから常に混同して生きるしかない。だから、だからこそ、自己と他人をおかしいくらいに区別していないとすぐに混同してしまう。どんなに体が交わったとしても、精神は交われないし精神を重ねる必要はない。もとからまったく違う世界に立っているのだから。
そして気づいた!
自他の境界を求めているのは自分がすぐに自他を混同してしまうからだと。常に妬みを持っているから。血縁、家族、兄弟について疑問を持たなくてすむ人たちに対して。
疑問とは家族に対する不満とか、分かり合えなさとか、もっとあるそういう、そういうことじゃない。伝わるかわからないけど、ちがう。根本的な疑問だ。たまたま居合わせただけの人たちと血縁という妙な名前のものでつながっている意味、必要性、異様さ、気味の悪さ、頭のおかしさ、そういうものに気づいて、気づかされて、ぞっとするくらいどうしようもない居心地の悪さを毎日毎日感じているこちらがおかしいと言われる!このことだ。おかしいと言われなくてすむ、おかしいと言って許される側になりたい。これが妬みだ。どんなに楽しく生きても相手になりたい、相手が自分になってほしいという感情は消えない、全体的に妬みをもって生きているから。
メルロ=ポンティは素晴らしいよ、どう頑張っても表現できなかった恐ろしさを一瞬で言葉にしてくれた。自他の混同の恐ろしさにまったくの第三者からの文字で表現された瞬間に落ち着ける、すごいよ、とてもすごい。誰に伝えても通じないような感情(いつだって固有の感情は相手には伝わらない。伝わってしまったらそれは固有の感情ではなくなるから)がT-falのお湯が沸く音のようにぼこぼことわいて涙がでた。感動した。やっと言葉になったのだから!
思い出した話
近所の居酒屋でひたすらビールを飲んで、すごく美味しい牡蠣の大葉包み天ぷらを食べた。
そこは一階と二階に分かれているタイプの、ほらよくあるあれだよ…一階に厨房がある…二階は飲み物だけで食べ物は一階から小さいエレベーターで持ち上げて提供するあれ…あのタイプの居酒屋…私このタイプのお店大好き…
そういう感じのお店の二階にいたんだけど、そこで接客してくれたお兄さんが見ていて面白かった。
どこが面白かったかって言うとだいぶお店が落ち着いた頃に急にお兄さんがカウンターに消えて、しばらくしたらカウンターの裏から煙がするすると上がっていて…そう、お兄さんがこっそり煙草を吸っていたのです。
すごい物語的でよかった。結構可愛い顔をしたお兄さんだったから余計よかった。煙草吸ったあとは缶コーヒーを飲んでにおいを誤魔化していてさらに物語っぽかった。
彼女の話
床に散らばる書類を見て、彼女はすべてを燃やすことを決めた。
彼女は極端だった。掃除を始めるとなんでもかんでも捨て始めてしまい、必要なものすら気が付いたら捨ててしまっていた。そんな彼女は読んだ紙類を床に投げ捨てる習性があった。彼女は床を真っ白にするのが好きなのだ。そして毎回拾い集めるときに面倒なことをした、と後悔する。しかし、その真っ白い床を見て燃やそうと思ったことは今までなかった。しかし、今日は一枚一枚集めて捨てるのではなくすべて燃やせばいいと思い立った。
なにを使って紙を燃やそうかと考えて、火がついたマッチを紙に放り込めばいいと気づいた。彼女はものが少ない部屋を進み台所になぜおいてあるのかわからないマッチ箱を手に自室に戻ってきた。
さて、火をつけて紙を燃やしてしまおうと、マッチ箱からマッチ棒を取り出し、箱の側面にあるざらざらした部分にマッチ棒の赤い部分をしゅるりとこすりつけた。先っぽの赤い部分がそのまま火となってゆらりと火薬のかおりが部屋に漂い彼女の手に火があらわれた。彼女はそのまま手にある火を紙に放り込もうとした。
その時、馬鹿に陽気な玄関のチャイムが鳴った。彼女は手にある火をふっと吹き消し、玄関のほうを優先した。なぜなら、彼女は普通の人なので、ごみを片付けることよりも人の訪問のほうが重要だからだ。
玄関のドアを開くと一人の女が立っていた。その女はにっこりと微笑みながら彼女に向かって穏やかな調子で、あなたは神を信じますか?と問いかけた。彼女は少し眉を寄せながら女を見つめた。女は再度、神について語りだした。彼女は女が息継ぎをしようと一度言葉を切ったときに捻じ込むように、あなたの言う神と私の言う神は少し齟齬があるようなのでが、あなたはどうのような意味で神という言葉を使っているのですが?と問いかけた。女はにっこりと微笑んだ顔をゆるりと苦笑に変えながら少し首を傾げ質問に答えようとしたが、彼女は女には答えさせずに、私は神を、私と他人を結ぶ絶対的なものであり、仲介者としての一種の要素であると考え、存在ではなく意味としての神として神という言葉を使い神を考えているので、あなたの言うような人間的な一人の存在としての神とは違うと思うのです、とひと息で言い切った。女は困り切った顔をして、しばらく何度か口を開けたり閉じたりしていたのだが、急にまた今度きますと囁き彼女の玄関から去って行った。
彼女は去っていた女を見送り自室に戻った。あの真っ白い自室に。そして床に散らばっている紙を一枚一枚拾い始めた。なんだか燃やす気持ちがなくなってしまったのだ。
そんな彼女のことを静かに見つめている存在があった。「それ」は彼女が家の中で紙を燃やすことをやめ、拾い始めたのを見て安心したように笑った。
「それ」は俗にいう神であった。紙の。
おわり
(2年生の冬、教授に提出したらSをもらった話)
DMMmobileの話
ちょっと前の話
なんとなく「新しいスマートフォンがほしい。」という気持ちに包まれていた。
いろいろ見て一週間くらいぼんやり悩んでスッと契約した。
DMMにした。刀剣乱舞でお世話になったし、安いし、HUAWEIに興味あったし。
7月15日にネットで諸々送信したら5日後に現物が届いた。ありがとう!!!!
端末はHUAWEI P8liteの黒。microSIMでデータ通信のみ3GB(850円)で契約…月々、本体代とセキュリティサービスつけて2477円。
端末は、思ったよりも軽いし思ったよりも使いやすい。よかった
本体が縦に入ってた。なんかこう、ちょっと縦にされるとかっこいいとか思っちゃう…
なんかしみじみとこうやってかっこよくコンパクトに収納されてると楽しくなる。よだれでそうになった。
映画の話
聞いてください。マッドマックスとジュラシックワールドを観ました。
マッドマックスは10時40分から一人で観たのですが、朝から観るものではなかった。
絶対夜に観るものだよ…夜観てお酒飲んで歯を磨いて寝るやつだよ。内容はよかったです。マッドマックスの知識は皆無だったんだけど面白いから絶対観たほうがいい…と言われたので観に行った。
生命の映画だった。神話だった。筋肉つけよ…
ジュラシックワールド、MX4Dで観た。座席が揺れたり足になんか当たったたり、水が顔に吹きつけてきたり土の匂いがしたり頭の上に空気が通ったり、座席がボコボコしたりで、映画の内容よりも座席に怯え続けた2時間だった…あの座席まじ無理こわい…
内容はよかった。インドミナス・レックスっていう新種の恐竜が殺人マシーンとしてがるるるするって内容。主役の兄弟のお兄ちゃんが最高にかっこよかった…ラプトルがきゅるきゅるしてて可愛かった。素晴らしい。恐竜に対して可愛いという言葉がでるのすごくないですか?ラプトル可愛い。ぜひ映画を観た人と話したい。最後すべてを掻っ攫っていったあのいいとこ取りについて…